平成28年10月25日~10月31日 活動場所:岩手県上閉伊郡大槌町 【藤本 由多】


私は10月25日から31日まで7日間の期間、岩手県大槌町にあるカリタス大槌ベースで震災ボランティアとしてお世話になりました。 当初、5年計画を目処に活動が開始された大槌ベースですが、ボランティア団体は当初地域の住民から忌み嫌われていたそうです。 仮説に住んでいる人には無料で何でも支援がされる中、家が半壊、1階部分だけの浸水などでまだ住む事は可能とされる住民は、立て直しや、掃除などは自ら行わなければ行けない人が多数で不満を持つ人が大勢いたからです。 そこでイベントを企画したり、お茶会で直接地域の方と関わりを持つことで3年程で良い関係になって来たと言います。いまでは地域の班長にカリタスがなっている程親密な関係になっているそうです。
 いまでは主催でイベントをおこなったり、頼みごとはほとんど受けず、支援物資も無料ではなく、低価の有料(10円~100円など)で配布しているそうです。 目的として、現在復興が進んでいる中でも生活の中に非日常が(雨もり、隙間風など)あります。 しかしだからといってタダで物が手に入る生活に慣れてしまっては、町が復興したとしても元の生活に戻るのは難しく、生活をするのにはお金は必ずかかる事を忘れず生活して欲しいとの思いがあるそうです。 地域の住民からは不満の声もあるが、続けていくと言われていました。主催のイベントを失くしたのにも、「同じように何でもしてあげる」のではなく、地元の住民が行動する事に意味があるもので、住民が主催で行うものに関しては快く手伝う事を心がけているそうです。 最終的な目標としてはカリタスが無くなる事だそうで、ボランティアが県外から来てくれ、次に次にとつなげていく、ボランティアは人の心を補う支援を繋げていく。何もしなくても大槌の人間として寄り添う事が大切であると言われました。

現地で実際に活動を行ったのは26日~29日までの4日間10時から17時の時間を放課後デイ『子どもの夢ハウスおおつち』で活動しました。 夢ハウスは、震災後「家も流されてしまい、公園などの遊ぶ場所すらも無くなってしまった子どもたちの為に遊べる場所を提供したい。」という思いで社会福祉法人 夢のみずうみ村によって設立されました。30日は岩手県岩泉町の台風10号で被害にあった場所で活動しました。

1日目:
午前、震災直後の映像、震災後の人々の様子を記録した映像を見る。その後東北震災についての研修をし、現地に視察、現状の復興状態の把握を行う。
午後、夢ハウスで子どもたちと遊び、宿題を見るなどして関わりを持つ。震災がきっかけで不登校になってしまった子や、親が働いている為来ている子、ただ遊びに来ている子など様々な事情の子が集まる場所になっている。 責任者の方から設立の目的を聞く。質問した際に「子どもたちを教育する場所では無く、本当に自由に遊べる場、安心できる場所を作りたい。 何も言わなくても外にでて第3者と関われば学ぶ事はたくさんある。」とおっしゃられていた。半日夢ハウスで活動し、子どもたちは見ていい事、悪い事を学ぶ事も多くあると感じた。

2日目:
倉庫の工具、玩具の整理。お昼を子どもと一緒に焼きそば・シチュー・スープを作る。 夢ハウスの庭にグラウンドを作る作業を以前から行っていて、手伝いとして重機で運ばれてきた大量の砂を、坂になっている場所に運び平地にする為馴らし、盛り上げの作業をする。 学校から帰って来た中学生が手伝ってくれ一緒に行う。中学生に声を掛けられると、小学生も我先にと積極的に行動している様子があった。 歳が違う子どもたちが触れ合う中で、人との関わり合い方を学べる場にもなっていると感じる。

3日目:
ターザンロープのクッションの設置。プチプチやマットレスをぐるぐる巻きにしてクッションを作成、補強する。 廃校になった小学校に行き、跳び箱・布団・イスなどの資材を分けてもらう事も出来た。小学校には支援物資がたくさん集められており、周辺には仮設住宅が広がっていた。 使われない支援物資も多くあり、日常的に使う消耗品が助かるとの事だった。 午後は夢ハウスに『カラフル』というボランティア団体が来てくれ、子どもたちとカクテルを一緒に手作りして、お菓子を作って関わりました。 色んなボランティアの方々とも交流があり、継続して関係を保っていることで、子どもたちからの関わり方の違いを感じました。

4日目:
この日は午前の当初の予定を変更して、近くの公民館で行われている日本オリンピック委員会主催、東日本大震災復興支援「オリンピックデー・フェスタin大槌」に子どもたちと参加した。 実際にオリンピックで活躍された選手たちの数名が訪れ、地域の人たちと直接触れ合う事の出来る企画です。今回はチームを作りミニ運動会の様な形で関わりを持つことが出来ました。 参加人数は100数人で3時間程行い、オリンピック選手がチームを引っ張り士気を高めながら参加していました。 質問の時間やサイン会などの時間もあり、積極的に地域の住民も質問を行っていた。今まで選手が大事にしてきた思いや、座右の銘を聞く事もでき、「挨拶、人とのつながり」はどんな人でも大事なことである事を話されていました。    午後は夢ハウスに帰って『パラバルーン』のボランティアの方が来てくださり、一緒に音楽に合わせて行っていた。 子どもたちは「また来てほしい。」との発言もあったので楽しんでくれていたと実感した。私自身夢ハウスでの活動が最後だったので、子ども1人1人と別れを交わす。 中学生の女の子が「絶対また来てな。」と言ってくれたのが嬉しかった。 夢ハウスでは子どもたちと関われる時間はさほど多くなかったが、小学生はもちろん中高生の子どもたちとも触れ合う事ができ、一緒に何かをするだけ分かり合えることもたくさんある事を実感できた活動になった。

5日目:
8月の末日に起こった台風10号で被害を受けた、岩泉町へ活動に行きました。 今回はたくさんの社会福祉法人からボランティアが訪れ、120~130人が集まり、各担当に分かれ作業を行いました。 これからボランティア施設が1~2週間で縮小されていき、1ヶ月後には無くなっている可能性もあるとおっしゃっていました。 だが、生活支援はまだまだ必要な現状だということです。活動内容は川に溜まった流木や泥の撤去、家屋の溝の泥の撤去等、朝から夕方までの時間行いました。 近くにある鍾乳洞の湖も未だにあふれている状況のようでした。お昼は地元の方たちがボランティアの人の為に食堂を開いてくれていました。 現地の人にお話を聞くと、被害にあわれ、目の前で人が流されているのを目の当たりにしても助けに行けず、眼にその光景が焼きついたままの人や、イライラが増え些細なことでも気になる、心配になってしまう等精神的につらい思いをされている方たちがいました。 その中でも活動の最中、ボランティアの人を見つけると「お疲れ様です。」「ありがとうございます。また来て下さい。」等声を掛けてくれる方が大勢いて、人とのつながりはこうして大きくなり、助け合いの中でボランティア、復興は成り立っているのだなと強く感じました。

まとめ、感想

これまで私は実際に被災地に訪れたことは無く。どこか客観的にのみ「大変なのだろう。可哀想だな。」など思っていました。 ですが、現地に赴き、体験談を話してもらったり、当時の映像、被災地を周ったことで、どれほどの脅威であったのか、住民にとって見た目だけの被害でない事が身に染みて感じる事が出来ました。 現在、町は綺麗に整備され新しく道路や、建物が出来て来ています。全体的に盛り土も行われており、被害の経験を通して対策もされています。 被災から年月が経ち、復興が進みつつある中で世間の記憶からは徐々に薄れていくものになるでしょう。 しかし現在でも、多くの人が仮設住宅に住まわれていたり、交通手段の不便であったりと、まだまだ問題は改善できていないことがたくさん残っています。 その中でこれからボランティアという枠組みの中行えることは、直接的な労働的支援はもちろん、コミュニティづくり支援や心のケアに少しでも貢献出来るような間接支援ではないかと思います。 短期間しか関わる事の出来なかった分、労働的な支援は成果を出せた程の事は出来なかったと思います。 しかし、短期間ではあったものの、自らが感じた事、現地の状況、見てきた事は伝えていく事が出来ます。 体験してきたことを語り継ぎ、次の支援に向けて少しでも力になること、たくさんの人に知ってもらうことが私たちボランティアの一番の役割ではないかと感じました。